『Downton Abbey』の英語 2

「Abbey って何?」

僕は真っ先にロンドン君にこの質問をぶつけてみたんだ。英語の古い言い回しの前に、タイトルが何だか分かってないとよくない気がしたんだ。でも、それが悲劇の始まりだったんだ・・・

「abbey って言うのはな、昔、大修道院だった教会のことさ。例えば、イギリスで一番有名な abbey と言えば、Westminster Abbey だろうな。日本語ではウェストミンスター寺院と呼ばれているよ。」

「あ、それ、聞いたことあるよ。じゃあ、Downton Abbey はダウントン寺院だね。教会のお話なんだね」

「いいや。教会の話じゃないんだ。ある貴族の一家の話なんだよ、Downton Abbey は」

「じゃあ何で Abbey って言うの?」

「実はな、abbey には大邸宅と言う意味もあるんのだ。元は大修道院という意味だから、大きい建物のはずだろ。そこから大邸宅という意味にもなったんだろうな」

今日のロンドン君は何だか、とても穏やかだ。とても不気味だ。これは何か裏があるんじゃなかろうか。僕は警戒していた。すると・・・

「おい、ここでクエスチョンだ。abbey は元は大修道院だったと言ったが、大修道院には院長がいたはずだ。それは何と呼ばれていたか、当ててみな。間違ったらおやつ抜きな」

出た〜!ロンドン君の意地悪クイズ。今までこれで何度おやつをコイツに取られたことか!!でも、ここで引き下がったら、今日のおやつが抜きになっちゃう。

「うーん・・・ヒントをください」

「じゃ、ヒント一つにつき、羽一枚を抜いてよこしな」

き、鬼畜や、コイツはホンマもんの鬼や・・・

「おやつか羽か、好きな方を選ぶんだな」

「でも、ヒントもらって外れたら・・・」

「そりゃ、お気の毒さまだなww」

このヤロー、いつか毒を盛ってやる!コイツのビールに!!コイツのよく飲むビールはよーく知ってるんや!えーい、もうやけくそや!

僕はあと99本しか残っていない羽を一本引っこ抜いた。そしてロンドン君に手渡した。

「じゃ、約束通り、ヒントを出すぞ。それは俺がよく飲むビールの中にある」

「!?」

何だか分かりそうだぞ。落ち着くんだ、僕!ロンドン君がよく飲むビールは限られている。ラガー二種類、エール三種類、スタウト一種類。そうだ、ロンドン君はいつも関連語は同じ語源だから形が似てるって言ってたな。ということは abb という綴りが入っているはず・・・

「あ、Abbot・・・」

「正解。abbot は修道院の長って意味だ」

嬉しさと安堵感で涙が溢れてきた。よく頑張った、僕!緊張が解けたら何だかお腹が減ってきたよ。

「今日のおやつは何ですか?」

「Abbot だよ。さあ、パブ行くぞ!早く支度しないと置いてくぞ」

「あ、待って〜」

僕は一度抜けてしまった全身の力をまたもう一度奮い立たせた。そして、立ち上がった瞬間、心底思ったんだ。神様、ありがとう!って。

コメント

タイトルとURLをコピーしました