『Downton Abbey』の英語3

「Lordって何?」

僕のこの素朴な疑問があんな事を引き起こすなんて・・・その時の僕には知る由もなかった。

そう、それはロンドン君と『Downton Abbey』の第一話を観ている時だった。主人公の男の人がGranthamさんというのはすぐに分かった。でも、何だかちょっと変なんだ。この人、Earl of Granthamと呼ばれたり、Lord Granthamと呼ばれたり、My Lordと呼ばれたり、Robertと呼ばれたり、Papaと呼ばれたり、とにかくいろいろな呼び方があるんだ。まあ、Robertはファーストネームで、Papaは子供が父親を呼ぶときに使うというのはすぐに分かったんだけど、いまいちわからなかったのが、EarlとLordだったんだ。この苗字の前につける言葉は一体何だ?って素朴に思ったんだ。

するとロンドン君は質問に対して質問で返してきやがった。

「この主人公のファミリーネーム、分かってる?」

僕は胸を張って答えたんだ。

「Granthamやろ。何で?」

「やっぱり分かってなかったか・・・」

「え!ちゃうの?嘘や!」

「いや、嘘やない」

でたー、ロンドン君のなんちゃって京言葉。東の田舎もんのくせに・・・。ま、いい。今は頭が混乱してそれどころちゃう。

「ほな、彼のファミリーネーム、何なんや?」

「Crawleyだよ。」

「そやかて、Granthamって呼ばれてるやんか!」

「じゃ、もし俺が正しかったらこれから俺のことMy Lordと呼ぶこと。いいな?」

僕はこのとき、ロンドン君の怪しく光る目に気づくべきだった・・・今でも悔やまれて悔やまれて、悔しさで涙が出てくる・・・

「あー、ええよ!絶対僕の方が正しいしな」

するとロンドン君の目の光がさらに凝ってきた。

「確かに、主人公はGranthamと呼ばれているな。でもRobert Granthamと呼ばれているかな? Granthamと呼ばれているとき、他に何かついてないか?」

「確かに、Earl of GranthamとかLord Granthamと呼ばれているなあ。せやから、EarlとかLordって何かを聞こうと思うてたんや」

「そうか・・・でも、お前、今までイギリスにいてEarlとかLordって聞いた事なかったのか」

「Lordはあまり聞かへんけど、Earlはよく聞くなあ。Earl GreyとかEarl’s Courtとか。それ、人の名前とか地名と違うんか?」

「ああ、違うよ。Earlとは伯爵のことだ。つまり貴族の称号の一つだよ。」

「貴族の称号???」

「そしてな、貴族の称号を持つ人をLordと呼ぶんだよ。日本語では卿と訳されるな。」

「卿???」

僕は心の中で思わず呟いた。何それ、美味しいの・・・???

つづく

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