するとロンドン君は言った。
「美味しかないだろww」
こ、こいつ僕の心を読めるのか!?
ロンドン君は続けて言った。
「別に心が読めるわけじゃない。全部、お前の顔に書いてあるんだよww」
僕は思わず顔をガシガシ擦った。羽が二つ三つひらひらと落ちていった・・・
「お前、やっぱり、イギリスの上流階級のこと分かってないだろ」
僕は地面に落ちていった羽たちを見つめながら、頷くことしかできなかった。
「じゃ、簡単に説明していこう。これを知らないとこのドラマを観てもわからないことだらけだしな」
そう言うとロンドン君はイギリスの上流社会のことについて話始めた。
「ウィリアム王子は知っているな?」
「うん、チャールズ皇太子の長男の王子様ね」
「じゃ、ウィリアム王子は公には何と呼ばれているかわかるか?」
「うーん、プリンス・ウィリアムじゃないの?」
「そういう場合もあるけど、公式にはDuke of Cambridgeだな。ケンブリッジ公だ。これは貴族としての称号で、ケンブリッジの公爵ってことだ。ちなみに弟のヘンリーはDuke of Sussexな」
「公爵・・・?」
「もしかして公爵って何か分かってないだろ?」
「う、うん・・・」
「ヨーロッパの貴族にはランクがあって、上から公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵の五つに分かれているんだよ。英語で言うと、Duke、Marquess、Earl、Viscount、Baronになる。明治時代には日本もこのシステムを導入したんだぞ。」
「あ、そう言えば、三島由紀夫の『春の雪』は侯爵の息子と伯爵の娘の恋の話やったなあ。せやからなんとなく聞いたことあったんやな」
「でもな、ウィリアムもヘンリーも同じ家族なんだから、同じ苗字のはずだろ。何だかわかるか?」
「要するに王室の家名ちゅうことやろ?なんやろな?僕、聞いたことあるんかな?」
「絶対あるはず。ウィンザー家だよ」
「何それ、なんかおいしそうな響きやな・・・」
「ちなみにチャールズ皇太子の称号はプリンス・オブ・ウェールズ、ウェールズの君主って意味な。この称号は次のイギリスの王様になる王子が貰うことになってるんだよ」
「そうなんやな。家名と称号が違うのは、よう分かったで。で、Earl of Granthamはグランサムの伯爵っていう称号で、その伯爵の家名はCrawleyって言うことなんやな」
「そういうこと。そして、貴族の称号を持った個人に対して、Lord Grantham、Grantham卿って呼んだりするんだ。ちなみに称号を持つイギリス貴族には議会の議席が与えられているから一応みんな国会議員ってことになる。それがイギリスの上院・・・」
「House of Lordsや!」
「その通り!」
「ほな、My Lordってどういう意味なんや?」
「日本風に言えば、殿、だろうなww」
この時、僕は絶望の淵へと沈んでいった・・・これから僕はロンドン君を殿って呼ばなきゃいけないなんて・・・
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